「旦那の不動産は半分私のものじゃないの!?」財産分与の落とし穴

相談者さま先生、今度離婚することになったんですが、旦那が所有する不動産って半分私のものになるんですよね?

弁護士「ご主人が結婚してから得た収入で購入したものならそうなると思いますが、結婚前から持っているものや親御さんから贈与を受けたものは財産分与の対象外ですよ」

相談者さま「!!!!!」

四ツ谷のオフィスに移転してからこんなご相談を受けることが増えました。
離婚するときは、結婚期間中に夫婦で築いた財産を分割する「財産分与」が行われます。原則として2分の1ずつわけるもの。

だから冒頭の奥様のおっしゃってることは間違いではありません。
でも、財産分与の対象になるものとならないものがあるので、注意が必要です。

今回は、財産分与の対象になる財産・ならない財産、財産分与の進め方、そして不動産の財産分与を解説します。
財産分与は離婚の時に最も大きなお金が動くと言ってもいい項目なので、離婚を考えている方は頭に叩き込んでおいてください。

そもそも財産分与ってなに?

財産分与の対象になる財産について説明する前に簡単に財産分与について解説しておきます。

財産分与とは、離婚の際に、結婚期間中、厳密に言うと別居までの間に夫婦で協力して増やした財産「共有財産」をわけることです。現金や預貯金、不動産、車、家具などなんでも共有財産です。

夫の名義であろうと妻の名義であろうと、結婚期間中に増えたものであれば、財産分与をしなければなりません。意外と忘れられがちなのが、生命保険や学資保険、有価証券、退職金などです。それから夫婦や家族のための借金も財産分与の対象になるので、住宅ローンや教育ローン、カードローンの残債のチェックもお忘れなく。

離婚の際にもれなくリストアップしなければ、受け取るべき財産が受け取れなくなるので、執念深く思い出して書き出しておいてください

「これは共有財産なのかな。判断が難しい」と思ったものも、書き残しておきましょう。

財産分与の対象外になる財産

では本題の、財産分与の対象外になる財産についてお話しします。財産分与の対象外となる代表例がこちらです。

  • 結婚前から持っていた財産
  • 結婚前、結婚中に親などから贈与を受けた財産
  • 個人的なギャンブルなどで作った借金
  • 法人名義の財産

みてわかるように、「夫婦の協力で築いたとはいえないもの」が財産分与の対象外になるんです。法律用語では「特有財産」といいます。

結婚前から持っていた財産

結婚前にためていた定期貯金や有価証券、現金や預貯金、不動産などは財産分与の対象外です。独身時代に購入したマンションや車は離婚の時に分けることはできません。

「旦那が独身時代から持っている口座が生活口座になっていて、結婚前に貯金もあったけど今は出たり入ったりしていてよくわからなくなった場合はどうなるの?」

結婚前の貯金は特有財産だから財産分与の対象外が原則ですが、結婚後ごっちゃになってわからなくなった場合は「共有財産」とみなされるケースが多いですね。奥様にとってはチャンスと言えます。

親からもらったお金で購入した不動産

「うちの旦那の不動産は全部親から相続したお金で買ったらしいんだけどあれは特有財産だからもらえないってこと!?」

うーん。答えは「やってみなければなんともいえない」と言うところ。
原則は、親から贈与を受けた財産は特有財産とみなされ、財産分与の対象外です。でも、結婚後に親からお金を受け取ったことを立証する証拠がなければ、「親からの贈与で買った」とは言い切れません。

個別の状況を確認して、「親から贈与を受けたこと」の証拠がないようであれば「特有財産ではない」と主張できるかもしれません。

「じゃあ親からもらった不動産で得た収入はどうなるの?」

不動産収入を得るために、奥様が不動産管理に協力していた、ご主人を精神的にでもサポートしていた、と主張できれば不動産収入は財産分与の対象にできるかもしれません。ただ、明確に決まっている部分ではないので、これも「やってみなければわからない」ですね。

個人的な理由で作った借金

プラスの財産は分けたいですが、マイナスの財産=借金は分割して欲しくないものです。その分財産分与の対象となる財産の総額が減ってしまいます。

借金は、夫婦や家族のために作ったものであれば財産分与の対象です。住宅ローンやマイカーローンなどが代表的ですね。

でも、個人的なギャンブルや度を越した飲食代のために作った借金は財産分与の対象外です。独身時代に借りたお金ももちろん対象外。

ご主人に借金がある場合は、借りた時期や理由をはっきりとさせておきましょう。

法人名義の財産

原則として、奥さま、もしくはご主人が代表を務めていても法人名義の財産は財産分与の対象とはなりません。税金対策で、不動産を法人名義にしている場合は、全てを離婚時に分配することは難しいでしょう。

ただし、「明らかに自宅として住んでいるだけのマンション」など、実際の使用目的が名義とそぐわない場合には、財産分与の対象にできる可能性もあります。また、ご主人が所有している法人の株は、財産分与の対象です。

財産分与の進め方

財産分与とは何かがざっくりとわかったところで、財産分与の手順を説明しましょう。財産分与は離婚のお話と並行して進めるので、こんなにスムーズに行かないかもしれませんが、基本はこんな感じです。財産分与は共有財産の額によっては慰謝料以上に大きなお金が動く部分なので、ちょっとでも「揉めそう」と思ったら弁護士に相談してください

相手に離婚の意思を伝える前に財産をリストアップ

財産分与の時に問題になりがちなのが「隠し財産」です。

ご主人の秘密のマンションや奥様のへそくり、など元から隠しているものも、結婚期間中に築いたものならもちろん財産分与の対象です。元から隠しているものは見つけるのが大変ですが、金融機関からの手紙や、メールなどを注意深く観察して、あなたが知らない銀行や不動産会社からの手紙やメールを見つけたら要チェック。

「〇〇銀行に5000万円」というようにはっきりわからなくても、口座があると思われる金融機関や証券会社がわかれば、弁護士に依頼して「弁護士照会」という手続きで、口座の中身を確認できます。

そして、さらに気をつけなければならないのが「離婚を察知して財産を隠されること」です。不動産や株式、預貯金などの保有資産が多いと、奥さまが全てを把握するのは困難。だから、離婚話を察知するとこっそり隠してしまうご主人さまが少なくないんです。

まだ、離婚話を切り出していないなら、離婚の気配に気づかれる前に財産を洗い出してください。ばれないように!

離婚を切り出す

財産の洗い出しが完璧だと思ったら、離婚話を切り出しましょう。相手が了承すればあとは財産分与や、子どもがいる場合は養育費などの条件を決めていくことになります。 しかし!相手が離婚に応じない場合は、話し合いは泥沼の様相を呈して身動きが取れなくなります。

話し合いで決まるのであればどんな理由であっても離婚可能ですが、調停や裁判になる場合は、民法で規定された場合しか離婚が認められません。あなたの離婚したい理由によっては早めに弁護士に相談して交渉する必要があります

相手の不貞行為などを原因に離婚する場合は、財産分与の他に慰謝料を請求できますので、自分で戦わず、まず弁護士へ。

財産分与の割合や分け方を決める

双方が離婚に合意したら、財産分与の割合や分け方を決めていきます。先に離婚届を提出してもよいですが、離婚が成立してしまうと話し合いがスムーズに進まなくなるので、できれば全ての話し合うべきことに決着が着いてから、離婚届を提出しましょう。

財産分与は、双方が共有財産をリストアップして、その内容に合意したら分割割合を決定します。原則として、割合は2分の1です。奥さまが専業主婦でもご主人が専業主夫でも、分割割合が大きく変動することはありませんのでご安心ください。

話し合いであれば、両者が合意すれば好きな割合で分割することも可能ですが、裁判では多くのケースが2分の1と判断されますので、ご主人が「お前は専業主婦だから半分も渡せない」と言ってもスルーしましょう。

話し合いで合意できなければ調停や訴訟へ

財産分与だけでなく、離婚するかどうかや慰謝料の問題など様々な問題が噴出して、全くお話にならない場合は、調停を検討します。調停とは家庭裁判所で行われる話し合いです。

調停委員という人たちがそれぞれの話を聞いて、解決案を提案してくれます。裁判ではないので、解決案に不服がある場合は従わずに裁判を起こすことも可能。 ここまでこじれてしまったら、自分たちだけで解決することは難しいので、弁護士に交渉を一任してしまいましょう。

合意したら財産を分割

話し合いや調停、裁判で離婚や財産分与に双方が合意したら、財産を分割します。法律で「この瞬間に分割しなさい!」と決められているわけではありませんが、離婚と同じタイミングで分けておくとトラブルが少ないと思います。財産分与の時効は2年なので、ぼんやりしていて時効を迎えることがないように注意してくださいね。

話し合いで財産分与を決めた場合は、公正証書を作成しておくと安心です。ご主人が約束を破ったら財産の差し押さえなどの手続きが比較的簡単にできます。と言っても、裁判所に申し立てたりしなければならないので、弁護士の力が必要なケースがほとんどです。

不動産の財産分与の方法

では、さらに不動産に焦点を絞って財産分与のお話を進めていきます。先ほど、結婚期間中に取得した不動産は「財産分与の対象となる」とお話ししましたが、不動産はお金みたいにきれいに分割することができませんよね。物理的に分けることはほぼ不可能です。

「私はあのビルとあっちのマンションが欲しい!」

このように、複数持っている場合は、物件ごとに分けることもできます。でも1つしかなければちょっと分け方は複雑ですので、具体例を交えながら説明していきます。

不動産の評価額を確認

まずは不動産の評価額を確認します。お金に換算しないと平等に分割できませんよね。多くの場合は不動産鑑定士などに依頼して、離婚成立時の時価額で評価します。不動産を購入する際にお金を借りている場合は、残債も要確認。残債は借りている金融機関に問い合わせればすぐにわかるでしょう。

共有財産部分を計算

不動産の評価額がわかったら共有財産部分を計算しましょう。物件の評価額が1億円、ご主人が親から贈与された1000万円を頭金に組み込んで購入した場合は9000万円が財産分与の対象です。

売るのか住むのかを決める

その物件を売却して分割するのか、もしくはどちらから居住や保有するのかを決定します。売る場合はシンプルですが、保有を続ける場合は保有する側が保有しない側に金銭を支払わなければなりません。先ほどの1億円の物件の場合、奥さまが保有することになったら4500万円をご主人に支払わなければならないということです。 (詳しく知りたい方はこちらの不動産の財産分与を参考にしてください)

まとめ

ご主人が多くの不動産を保有している場合、財産分与は通常よりも複雑になります。そしてちょっと判断を間違えるとかなりの不利益を被ることが少なくありません。離婚の時って、慰謝料のことばかりに目がいきがちですが、本当にお金が動くのは財産分与。

「今はインターネットでなんでも調べられるし、この記事を読んで勉強したから自分で戦うの!」って思いましたか?

確かにインターネットにはいろんな情報が掲載されていますが、法律関係は一般的なことばかりであなたの状況にぴったりの事案や解決策ってなかなかないものです。 特に不動産の財産分与については、どこから共有財産になるのかという点を含め裁判でも判断が分かれることが多いので、弁護士に相談して、損をしないように立ち回ることが大切です。

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