親権・監護権等

■親権とは

親権とは、未成年の子の法定代理人となる権限ですが、多くは監護権(実際にお子さんと一緒に生活して監護養育を行う権限)を含んでいます。
法律上定められている具体的な親権の内容としては、次のようなものがあります。

  • 財産管理権
  • 身上監護権
  • 子どもが身分法上の行為を行うにあたっての親の同意・代理権
  • 親が子どもの居所を指定する権利(居所指定権)
  • 子どもに対して親が懲戒・しつけをする権利(懲戒権)
  • 子どもが職業を営むにあたって親がその職業を許可する権利(職業許可権)

いずれも親の権利ですが、一方で、社会的に未熟な子どもを保護し、子どもの精神的・肉体的な成長を図らなければならない親の義務という側面もあります。

未成年の子どもは親の親権に服することになり、その親権は父母が共同して行使することが原則です。

ただし、父母が離婚する場合、父母が共同して親権を行使することはできないため、父母のいずれかを親権を行使する親権者として定める必要があります。父母が協議上の離婚をする場合は、その協議で親権を行使する親権者を定め、裁判上の離婚をする場合は、裁判所が父母の片方を親権者と定めることになります。

 

■親権と監護権

親権の中には、すでに述べたように「身上監護権(居所指定権、懲戒権、職業許可権等)」が含まれています。親権の中で、この身上監護権のみを取り出して、親が子どもを監護し教育する権利義務を「監護権」と呼んでいます。言い換えると、監護権とは、親権のうち子どもの近くにいて、子どもの世話や教育をする親の権利義務ということになります。

監護権は親権の一部ですから、原則として親権者がこれを行使します。親権者と監護権者は一致したほうが、子どもの福祉に資すると一般に考えられています。しかし、親権者が子どもを監護できない事情がある場合や、親権者でない片方が監護権者として適当である場合には、親権者と監護権者が別々になることもありえます。

 

■親権者を決める手続

協議離婚の場合は、夫婦が話し合って、どちらか片方を親権者と決めます。

話し合いで合意に至らない場合は、親権者の指定を求める調停を家庭裁判所に申し立て、裁判所における調停の話し合いを通じて親権者を決めることになります。もっとも、親権をどちらがもつかは離婚の条件でも重要なものであるため、親権についての話し合いが決裂した場合は、そもそも離婚をするかしないか自体も問題になりえます。そのため、親権が決まらない場合には、離婚調停の申立をしてしまって、その調停の中で親権の話し合いもしていくのが一般的です。

親権者の決定について調停でも折り合いがつかない場合には、親権者指定の審判手続に移行し、裁判所の判断により親権者を指定してもらうことになります。また、離婚調停で親権者の折り合いがつかず、離婚の条件がまとまらないために離婚調停が不調に終わったような場合には、離婚訴訟を提起して離婚の成否や離婚の条件について争うことになります。このとき、離婚の条件の一つとして親権をどちらにするかを裁判所に判断してもらうよう申立をすれば、裁判所が判決で親権者を定めることになります。

なお、いったん決めた親権者等を変更したい場合には、親権者変更の調停・審判や監護権者変更の調停・審判を家庭裁判所に申し立てて、新たな親権者を家庭裁判所で指定してもらうことになります。この場合、子どもの利益のために必要があると認められるときに限って、親権者や監護権者が変更されることになります。変更すべき特段の事情が必要となりますので、ハードルは高いといえます。

 

■親権者になるためには

親権者をいずれにするかはまず話し合いで、そこで決まらないなら調停、それでも決まらないなら、審判ないし訴訟で裁判所が決めるという流れになります。調停も、調停委員を間に立てた当事者間での話し合いですから、結局のところ、話し合いでだめなら裁判所が他方当事者の合意を得ることなく決めてしまうことになります。

では、裁判所に親権者と認めてもらうためには、どのようにすればよいのでしょうか。

親権とは、すでに述べたとおり、親の権利であるいっぽうで社会的に未熟な子どもを保護して、子どもの精神的・肉体的な成長を図っていかなければならない親の義務という側面があります。そのため、親権者指定の条件は、子どもを十分に養育していけるか、子どもの成長のためには、どちらを親権者としたほうがいいかといった、子どもの利益を中心として考えられることになります。

具体的には、

  • 子どもに対する愛情
  • 収入などの経済力
  • 代わりに面倒を見てくれる人の有無
  • 親の年齢や心身の健康状態など親の監護能力
  • 住宅事情や学校関係などの生活環境
  • 子どもの年齢や性別、発育状況
  • 環境の変化が子どもの生活に影響する可能性
  • 兄弟姉妹が分かれることにならないか
  • 子ども本人の意思

などの事情を考慮して、総合的に判断されます。子どもが幼ければ幼いほど、親権の争いについては母親が有利といわれています。ただし、子どもの面倒を見るのには母親が向いているという理由で母親が有利といったことも確かにありますが、これも養育能力の問題ですので、母親だから常に有利という訳でもありません。

また、15歳以上の子どもの親権を審判や訴訟で定める場合には、裁判所が子ども本人の陳述を聞く必要があります。そのため、ある程度、年齢が上の子どもであれば、親権者の決定には、子ども自身の意思がかなり重要となってきます。

一方、不貞をしていたという事情については、ほかの場面では非常に重要な問題になりますが、子どもの親権決定の場面においてはそれほど重要ではなく、その事情のみをもって親権者としてふさわしくないとの判断はされません。ただし、不貞行為により子どもに悪影響を及ぼしたという事情がある場合には、もちろん考慮されることになります。

なお、子どもの環境の変化という観点から、既存の監護状態が重視される傾向はたしかにあります。しかし、夫婦が別居状態で離婚の話し合いをしている最中に、子どもを監護していない親が、無断で子どもを連れ去る等の行為をすることは、親権者を決める協議・裁判手続中であることを無視する不穏当な行為であり、親権者の適格性を判断するうえでは大きなマイナスとなることもありますので、注意が必要です。

 

■監護権者を決める手続

監護権者になるための監護権者指定の手続は、親権者指定・変更の手続とほとんど同じです。まず、両親の話し合いで監護権者を決めてみましょう。それで決まらなければ、家庭裁判所への調停ないし審判の申立によって、裁判所を介して監護権者を決めることになります。

また、監護権者を誰にするかという家庭裁判所の判断基準も、子どもを十分に養育していけるか、子どもの成長のためにはどちらを監護権者としたほうがいいかといった、子どもの利益・福祉を中心にして考えられています。監護権者と親権者の違いとしては、監護権者が決まっていることは離婚の要件ではないという点です。そのため、監護権者は離婚した後でも決めることができることになります。

なお、離婚前であれば、父母が共同で親権を行使するので、どちらか片方の親のみが親権者になるということは法律上ありえません。

しかし、監護権者については、離婚前であっても別居中の夫婦の場合には、父母のどちらが子どもの面倒を見るか決めなければなりませんので、離婚前に父母のどちらか片方が監護権者となるのかを決める必要があるのです。手早い段階であらかじめ監護権者を決めておくことにより、離婚後の子どもの教育・生育環境の急激な変化などの問題を回避することができます。

 

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